ロルフィングの解説:10シリーズ①

この記事では、ロルフィングの基本的な受け方である10シリーズの説明①を行なっています。全10回からなる10シリーズは、1~3回目までのを表層セッションとして扱い、4回目以降のための準備として、また表面にある筋膜などの組織を開いていきます。その表層セッションの詳細を載せていますので、後の②、③、と合わせてご覧ください。

目次

はじめに

ロルフィングを受けるにあたって、初めての人や身体をしっかり整えたい、より効果の持続する身体になりたい方には10シリーズをお勧めしています。ロルフィングのゴールは、「重力場において自由に身体が動けるようになる」ということです。そのためには、「筋肉がそれぞれ独立して動ける状態であること、そしてそれらの筋肉が必要に応じて共同して動けるようになる」ことが求められます。

ですので、ロルフィングの10シリーズでは、まず身体をバラバラにしていきます。それが、1〜7回目の役割で、1〜3回目を「表層(スリーブ)」セッションと呼び、4〜7回目が「深層(コア)セッション」と呼ばれます。創始者のアイダロルフ博士が、「身体の外側と内側のバランスが取れていることが重要である」と表現している通り、最初に身体の外側=表層から、その後に身体の内側=深層に働きかけていくのです。

そして、その内外のバランスをまとめていくために、8〜10回目のセッションで「統合(インテグレーション)」していきます。この一連の流れが身体の仕組みにとてもマッチしているので、身体も自然に変化しやすくなるのです。今回は、その表層セッションについて書いていきます。  

1. 表層(スリーブ)セッション

表層セッションは3回のセッションで構成されており、身体の表層=スリーブに働きかけていきます。セーターとシャツを二枚着ていたとして、セーターがねじれているとその下のシャツも一緒にねじれてしまいます。身体も似た仕組みになっていて、「表層=スリーブが自由になる」ことで初めて、深層=コアが働きやすくなるのです。

セッション1

第1セッションは、「呼吸」がテーマになっていきます。呼吸は一日2〜3万回も行なっていて、生命活動の維持に不可欠な活動です。多くの方は「胸式呼吸と腹式呼吸」大事さを認識していますが、どちらの方が優れている、といったことはロルフィングの観点では基本的にありません。むしろ、「胸と腹部の両方に呼吸がしっかり入ってくる」ことが大事だと考えます。

よく見受けられるケースとして、「胸やお腹の前面のみ」呼吸を行っている方が非常に多いということ。その傾向が強まると、腰の反り返しや肋骨下部が前面にせり出すような形になり、姿勢に影響を与えたり、息をしっかり吐けないためにリラックスできない、となったりしてしまいます。第一セッションでは、胸とお腹の両方に、そして前面だけではなく「特に後面にも呼吸が行き来するように」、肩関節と股関節周りにアプローチをしていきます。

セッション2

第2セッションでは、「左右の脚のバランス」見ていきます。多くの方々は、身体を支えるときに脚、足が十分に働いておらず、左右差が上半身にまで影響しているケースは少なくありません。そうすると、上半身や腰で常に身体を支えることになり、疲労が溜まって肩こりや腰痛を生み出してしまうのです。大腿や下腿を含む脚部に、足首や足裏、足指といった足部にアプローチすることで、上半身の張りや力みが取れることがよく起こりますし、身体の安定感を足裏から感じられます。

またこのセッションにおいて、「バックラインと呼ばれる身体の背中側が伸びていくこと」、これが後々のセッションのために不可欠になります。そのため、椅子に座っていただき、クライアントさんが前屈しながら足で床を押すことで、背中側が伸びながら、足先から上半身までのつながりが形成されていきます。このワークは「バックワーク」と呼ばれ、必要に応じて後々のセッションでも活用されます。

セッション3

第3セッションでは、身体の側部がテーマになります。また、表層セッションのまとめの回にもなります。ロルフィングの教科書を書いているエド・モーピン博士によると、ロルフィングにおいて大事なポイントの一つとして、「水平面の極性をリリースする」としていました(下図赤枠のイメージ)。

なので、「肩が水平面に向かって左右に伸びていけるように」、肩甲骨周りや肋骨周りの組織を楽にしていきます。同時に、骨盤の側部にある臀筋や大腿の組織にもアプローチしていきます。

もう一つ大事なポイントは、「腰方形筋」と呼ばれる、肋骨の一番下にある肋骨12番と骨盤に付着している身体の側部の筋肉です。この筋肉が大事な理由は、「腸腰筋(大腰筋と腸骨筋)」と呼ばれる、身体の軸を支えるために「とても大事な組織の真後ろに腰方形筋が存在している」からです。下図を見てもわかるように、腰方形筋は腸腰筋と重なっていて、筋膜を通じて繋がっています。ですので、「腰方形筋が解放されるとそれが腸腰筋にも影響し、お互いが働きやすくなります」。腸腰筋は第5セッションで扱うので、表層=スリーブのまとめという意味でも、深層=コアセッションの準備が重要になってきます。

次回は、深層=コアのセッションについて書いていきます。

リンクはこちらからどうぞ。  

ロルフィングの解説:10シリーズ②

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

日本語と英語を操るバイリンガルロルファー。東京出身ではありますが、神戸の風土と文化、そして人の雰囲気に親しみを感じ、2016年に移住してきました。六甲山を始めとした山々と海の自然に囲まれ、お洒落なお店が立ち並ぶ神戸三宮での日常を楽しんでいます。

目次