ロルフィングの10シリーズを創始者のアイダロルフ博士から聞いてみる

この記事では、ロルフィングの創始者であるアイダロルフ博士が生前語っていた、ロルフィングと10シリーズについての動画を文字起こしして翻訳してみました。

ロルフィングに関して創始者が語っている資料は非常に珍しく、日本語にも訳されていないものが多いので紹介させていただきます。

 

目次

ロルフィングとアイダロルフ博士

ロルフィングを受けようか、と考えたことがある人は、一度は考えたことがあるかもしれません。なぜ10回のセッションなのか?10回受けなければならないのか?そもそも10シリーズって何なのか?ロルフィングを提供し始めて6年が過ぎましたが、自分も明確にかつシンプルに説明するのがとても難しい内容です。


その創始者であるアイダロルフ博士のお言葉をお借りし、3つのパートに分けてその内容を考えていきたいと思います。 3つのパートはこちらです。それぞれ解説していきますね。

  1. 「ストラクチャルインテグレーション」「秩序」「本来ある場所に戻す」
  2. 「局所の問題」「バランス」「内側と外側」
  3. 「筋膜のパターン」「効率的に動ける」「身体の輪郭の変化」

アイダ・ロルフ博士

1.「ストラクチャルインテグレーション」「秩序」「本来ある場所に戻す」

Structural integration is a technique which aims at organizing at ordering a body. At bringing muscle back into place where they belong in terms of their theoretical order. In structural integration we expect to give cycle of ten sessions. And there is a reason for this.

ストラクチャルインテグレーションは、身体を秩序化してまとめ上げていくことを目指すテクニックです。理論上の秩序の観点において、筋肉を本来ある場所に戻していくことです。ストラクチャルインテグレーションでは、私たちは10回のセッションを提供します。これには理由があります。

これらはロルフィングの説明でよく言われている表現で、ここで注目すべきものは、「ストラクチャルインテグレーション」と「秩序」という言葉、そして「本来ある場所に戻す」という表現です。

ストラクチャルインテグレーション」は、ストラクチャル=「構造」という言葉とインテグレーション=「統合」という言葉の二つからなる造語で、「ロルフィング」の正式名称になります。

ロルフィング」の名称は商標登録されており、自分が通っていた学校の卒業生のみ使用できます。「iPhone」がAppleの商標登録で、商品のカテゴリーが「スマートフォン」であるのと一緒です。「ロルフィング」という言葉は、敬意を込めて創始者の名前から作られた言葉なんですね。

秩序」は、日本語でもとても難しい概念です。ここでは、綺麗に整理されている、という認識がいいかと思います。例えば、体育館で綺麗に整列している様や、電車で綺麗に並んでいる状態も「秩序」があります。

ある一定のルールや規律があり、それに沿って全てが動いている、とも言い換えられます。身体においては、すべての組織がルールに則って綺麗に整理されている=「秩序」のある状態、と考えていくことができます。

そのような状態を作り上げていくために、身体の筋肉を「本来ある場所に戻していく」ことを目指していくテクニックなのですね。では、次の段落に行きましょう。

 

2.「局所の問題」「バランス」「内側と外側」

We are not feeling with local problem. We are not feeling with that “Well, I fixed that. That’s all.” We are feeling with an attempt that to make a body human being to make body a more secure and more adequate within the field of gravity. This should require that muscle is balanced around the vertical line. And when I talk about balancing muscle I’m talking about balancing right side against left side, front side and back of the body, and finally inner most muscles against outer most muscles. Inside against outside, this is the most important to those balance.

And we start from outside working in and takes us ten hours before we get to the place where we really get balance. 

私たちは局所の問題を感じようとしているわけではありません。私たちは、「あそこを治したよ。はい終わり。」といったことを感じようとしているわけではありません。人々の身体が重力場においてより安全で満たされているために、身体をより人間らしくしていく方向性を私たちは感じているのです。そのために、筋肉のバランスが垂直なラインに沿っていい状態である必要があります。ここで私がバランスの話をする時に意味するのは、右側と左側、正面と背面、そして内側と外側の筋肉のバランスについてです。内側と外側、これこそが一番重要なバランスになるのです。

私たちは最初に外側から働き掛け始め、10回の時間をかけながら本来のバランスが取れている状態に持っていきます。

ここでまたいくつかキーワードが出てきました。「局所の問題」「バランス」「内側と外側」ですね。

局所の問題」というところは、いわゆる肩こりや腰痛の時に、その肩や腰自体の問題としてみていかない、ということです。例えば工事現場で、一箇所の進行が遅れていたら日程調整をしたり人数を加えてサポートしたりすると思います。

一般的な事柄にはその考え方ができるのですが、いざ人の身体になるとそれが難しくなるのが悩ましいところです。その中で、ロルフィングでは少し別の視点から身体を見ていきます。そのために必要な概念が、「バランス」です。

バランス」というと、多くの皆さんは、肩や骨盤の高さといった左右差をイメージするかもしれません。ロルフィングでは、そういったものだけではなく、前後の「バランス」、そして「内側と外側」の「バランス」にも目を向けていきます。

前後の「バランス」は、例えば骨盤が前に傾いていたり、猫背になっていたり、という状態が分かりやすいでしょう。猫背だと頭が前に突き出す形になりやすいので、アイダロルフ博士が言うような垂直なラインに沿った「バランス」になるのは難しいですよね。

では、「内側と外側」の「バランス」とは、どのような良い意味なのでしょう?ロルフィングでは、表層・深層と身体を分けて考えます。わかりやすい例だと、太腿にある大腿四頭筋は表層=外側に考えられ、それと似た働きをする腸腰筋は深層=内側に分けられます。

クライアントさんを見ていくと、大腿四頭筋は良い状態なのに腸腰筋があまり働いていない、という方を多く見てきました。これが残ったままだと、同じ症状を繰り返してしまったり腰痛の原因となったりしてしまうでしょう。

内側と外側」の「バランス」を取るために、外側から始めて10シリーズの中盤に内側へ働きかけていく、という順序はとても理にかなっていて、セッションを積み重ねていくとそれがよく分かります。

 

3.「筋膜のパターン」「効率的に動ける」「身体の輪郭の変化」

In the cycle of ten sessions which is basic to this work, there is complete overseeing of what is going on in terms of the muscular and fascial pattern of the body. What we are interested in doing is setting muscular groupings where they belong in order to work most efficiently within the gravity field, in order to support the body with least effort. That means you have to induce balance by getting two sides symmetrical, front back symmetrical, inside outside symmetrical.

And you can see to what extent you have succeeded in doing this through the changes in the outer contour.

このワークの基本である10回のセッションの中で、筋肉と筋膜のパターンの観点から、身体に何が起きているのかを完全に調べていきます。私たちが関心を持っているのは、重力場で最も効率的に動けるように、最小限の労力で身体を支えられるように、筋肉群を本来ある場所に持っていくことです。これが意味するのは、左右の対称性、前後の対称性、内外の対称性によって良いバランスを引き出していく、ということです。

そして、どの程度このワークが成功しているかどうかを、外から見た身体の輪郭の変化を通じて見ていくことができるでしょう。

10回のセッションでの利点の一つに、身体の全身を網羅できることがあります。先にお話ししたように、身体に何か問題が起きていたらそれは局所の問題ではなく、全身で起きている問題なのです。その由縁が、「筋膜のパターン」にあります。

筋膜のパターン」は言い換えると、身体にクセが染み付いているということです。常に右足で足を組んだり、左足に体重をかけやすかったり、といったクセが身体に染み付き、筋膜がその方向にねじられたり固定されたりするのです。

10回のセッションを通じて全身をアプローチすることで、問題に関係する「筋膜のパターン」を把握し、原因を見つけていきます。それが変われば、身体が本来ある位置に戻っていき、身体が「効率的に動く」ようになっていきます。

下図を見て分かるように、明らかに「身体の輪郭」が変わっているのが見て取れます。個人差はあるのですが、このような状態が永続的に続くように、10回の時間をかけて進めていくことには大きな意味があるのです。

 

まとめ

ロルフィングの基本となる10シリーズは、手や経験によって講師から直接教えられているものなので、内容を見て真似しようと思っても本当の意味で実践することはできません。実際に受けて体験していただくことで、ここに書いてあることの意味がわかってくるかと思います。

ご興味ご関心のある方はいつでもお問い合わせください。神戸地区でない方は、お近くのロルファーをインターネットで探してみてお話を聞いてみるのもいいかと思います。より多くの人が楽で快適な日々を過ごせますように。 10シリーズの詳しい内容はこちらです。

ロルフィングの解説:10シリーズ①

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この記事を書いた人

日本語と英語を操るバイリンガルロルファー。東京出身ではありますが、神戸の風土と文化、そして人の雰囲気に親しみを感じ、2016年に移住してきました。六甲山を始めとした山々と海の自然に囲まれ、お洒落なお店が立ち並ぶ神戸三宮での日常を楽しんでいます。

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